Scivias 第1部・第2幻視|創造と堕落


『Scivias』第一部・第二幻視では、光に満ちた創造の世界と、そこへ入り込む堕落の影が、壮大な象徴によって描かれます。

ヒルデガルトが最初に目にしたのは、火のような輝きを受け、澄みきった光を放つ無数の「生ける灯火」でした。
しかし、その輝きのただ中に、井戸の口のような広く深い穴が現れ、そこからは悪臭を伴う黒い煙と、忌まわしい雲が立ちのぼっていきます。

やがてその煙は、光に満ちた領域へと入り込み、美しい人間の姿から生じ、その内に無数の星々を宿していた白い雲へ吹きつけます。
そして、白い雲も美しい人間の姿も、ともに光の領域から追い出されてしまいました。

その後、光は再びその領域を包みます。
しかし、それまで深い静けさのうちに保たれていた世界の元素は激しく乱れ、恐るべき姿を現すようになります。

ここに描かれているのは、単なる光と闇の対立ではありません。
創造された秩序の中へ堕落が入り込み、その影響が人間だけでなく、世界そのものへ広がっていく姿です。

第二幻視では、この「創造と堕落」の意味が、さらに神の言葉によって解き明かされていきます。


翻訳方針

このページでは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン『Scivias』について、コロンビア大学が公開している英語訳を主な底本として、日本語訳を作成しています。
翻訳にあたっては、英語訳の内容と構造をできる限り尊重しながら、単語を機械的に置き換えるのではなく、ヒルデガルトの幻視が持つ荘厳さや象徴性、祈りのような語りの流れが、日本語でも自然に伝わることを大切にしています。
また、『Scivias』には中世キリスト教神学に基づく象徴や独特の表現が数多く登場します。そのため、翻訳本文では原文にない解釈をできるだけ加えず、「ヒルデガルトが何を見て、何を聞き、どのように語ったのか」をまずそのまま受け取れるように整えています。
象徴の意味や神学的背景、現代の私たちがどのように受け取ることができるのかについては、翻訳本文とは分けて、解説ページで詳しく紐解いていきます。
※本ページはラテン語原典からの直接翻訳ではなく、公開されている英語訳をもとにした日本語訳です。

※Scivias (英語版)原文:コロンビア大学https://www.columbia.edu/itc/english/f2003/client_edit/documents/scivias.html


Potcastで優しく解説

※本Potcastと動画は、本記事をもとに、NotebookLMを活用して制作しています。


本文を動画で聞く



無数の生ける灯火が輝く光の領域に、深い穴から火を帯びた煙と忌まわしい雲が立ちのぼる
生ける灯火の輝きの中に、堕落へとつながる深淵が姿を現す

生ける灯火と、深淵から立ちのぼる煙

すると私は、まばゆいほど明るく輝く、無数の生ける灯火のようなものを見ました。
それらの灯火は、燃える火のような輝きを受け、澄みきった光を放つようになりました。

すると見よ、非常に広く、底知れぬほど深い大きな穴が現れました。
その入口は井戸の口のように開き、そこからは、激しい悪臭を伴う、火を含んだ煙が立ちのぼっていました。
その煙からは、忌まわしい雲が広がり、やがて血管のように細長く伸びた、欺きに満ちた姿に触れました。

Then I saw as it were a great multitude of very bright living lamps, which received fiery brilliance and acquired an unclouded splendor.

And behold!
A pit of great breadth and depth appeared, with a mouth like the mouth of a well, emitting fiery smoke with great stench, from which a loathsome cloud spread out and touched a deceitful, vein-shaped form.



星を宿した白い雲と美しい人間の姿が、黒い煙によって光の領域から追い出される
星を宿す白い雲と美しい人間の姿は、闇の侵入によって光の領域から追い出された

白い雲と美しい人間の姿への侵入

そして、光に満ちた領域で、その黒い煙は、美しい人間の姿から生じ、その内に無数の星々を宿していた白い雲へと吹きつけました。
その結果、白い雲も、美しい人間の姿も、ともにその光の領域から追い出されてしまいました。

And, in a region of brightness, it blew upon a white cloud that had come forth from a beautiful human form and contained within itself many and many stars, and so doing, cast out both the white cloud and the human form from that region.



中央の輝く光の領域を囲むように、海、嵐、雷、炎、大地の崩壊が荒れ狂う
光は再びその領域を包んだが、世界の諸元素は激しく乱れ、恐るべき姿を現した

光の回復と、世界の諸元素の混乱

それが起こると、その領域は再び、まばゆい光に包まれました。
しかし、それまで深い静けさのうちに保たれていた、世界を形づくるすべての元素は激しく乱れ、恐ろしい姿を現すようになりました。

そして再び、以前にも私に語りかけたあの御方の声を、私は聞きました。
その声は、こう語りました。

When this was done, a luminous splendor surrounded that region, and all the elements of the world, which before had existed in great calm, were turned to the greatest agitation and displayed horrible terrors.

And again I heard Him Who had spoken to me before, saying:


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毎朝6時、今日の「本日の聖書の言葉」と短い祈りの更新を、迷わず受け取れるお知らせメールをお届けします。
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鉄の山、無数の目、幼子、生ける火花――。ヒルデガルトが見た第一幻視を4つの節から辿り、その象徴に込められた神の教えを読み解きます。

第2幻視:次のメッセージ

※現在制作中、、、


『Scivias』:目次ガイドへ

『Scivias』は、ヒルデガルトの幻視とその解釈を通して、創造と救い、そして秩序を辿る代表作です。
象徴的なヴィジョンは、理解を急がず順を追って読むほど、聖書の理解と祈りの輪郭を静かに深めていきます。
まずは全体像を掴むためにガイド(目次)へ進み、序文で呼吸を整えてから、本編へお入りください。


感想ノート

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