「“愛すること”と“欲望に流されること”を、私たちはどこで取り違えてしまうのか?」
神のまなざしは、ただの倫理ではなく、いのちを育む神聖な秩序として性を見つめています。
その視点を取り戻したとき、愛のあり方はどのように変わるのでしょうか。


Message 22 :妊婦との交わりをする者は殺人者である
本文
私は、すでに女性のうちに幼子の根(胎児)が宿っている時点から、男女の交わりが行われることを望みません。
なぜなら、その幼子の発育が、過剰で浪費された精によって汚されるおそれがあるからです。
この交わりは、出産後の女性が清められてから、再び行うことが許されます。
ただし、それは正しさの中で、放縦ではなく、子どもへの愛ゆえに行われるべきなのです。
このようにして、人間の種は、誠実な人間の慣習によって増えていくべきです。
それは、「欲望を好きなように満たしても正しいことだ」と、愚かに言い募る人々のようであってはなりません。
彼らはこう言います──
「どうしてそんなにも酷く自分を抑えなければならないのか」と。
人間よ、あなたが悪魔の言葉に耳を傾けるならば、彼はあなたを悪に駆り立て、その致命的な毒であなたを滅ぼすでしょう。
けれども、あなたが神へと目を上げるならば、神はあなたを助け、貞潔に導いてくださいます。
あなたは、本当に欲望ではなく、貞潔を自分の行いにおいて望んでいないのですか。
女性は、男性が種を蒔く相手であり、それはちょうど男性が大地を耕して果実を得るようなものです。
男性が大地を耕すのは、茨やアザミを育てるためではありません。
そうではなく、価値ある果実を得るためなのです。
同じように、この交わりもまた、欲望の放縦のためではなく、子どもへの愛ゆえに行われるべきです。
ゆえに、人間よ──
あなたが罪を犯し、最も悪しき姦淫のうちに種を蒔くとき、あなたは姦淫者となるだけでなく、殺人者ともなるのです。
なぜなら、あなたは神の鏡を捨て去り、自分の欲を好きなように満たしているからです。
だからこそ、悪魔は常にあなたをその行為に駆り立てるのです。
あなたが子どもたちの喜びよりも、欲望を望んでいると知っているからです。
聞きなさい──教会の塔の中にあるあなたがたよ。
あなたがたが姦淫を行っているとき、私を責めてはなりません。
自分自身を省みなさい。
あなたがたは、私を蔑み、悪魔のもとへ走り、不法なことを行っているのです。
だからこそ、貞潔を望まなくなるのです。
それは、わたしの僕ホセアが、堕落した民を語る中で言っているとおりなのです。
キーワード解説
🔹 1.「妊娠中の交わりは“いのち”への冒涜」
- すでに命が宿っている状態での交わりは、母体と胎児への悪影響をもたらす「霊的な汚染」とみなされています。
- 神が創造された命のプロセスに、人間の欲望が入り込むことへの警告でもあります。
🔹 2. 「出産後の“清め”までの慎み」
- 出産によって女性の身体は神聖な営みを終え、神の秩序の中で「清めの期間」に入ります。
- この期間は、心と体の回復とともに、性的交わりから離れることが求められています。
🔹 3. 「性は“子どもへの愛”の中で行われるべき」
- 性的な結びつきは単なる快楽のためではなく、「いのちを育む愛」の一環として位置づけられています。
- 欲望のままに交わることは、「神の創造の意図」から逸れる行為とされています。
🔹 4. 「欲望の放縦は“悪魔の毒”」
- 人間が自らの欲を制御できずに快楽へと走るとき、そこには悪魔の働きかけがあります。
- 欲望に負けることは、魂を毒する“霊的な死”を招くものと警告されています。
🔹 5. 「“耕し”としての性のたとえ」
- 男性が女性に種を蒔くことは、農夫が大地を耕し果実を得る行為にたとえられます。
- 大地は茨を育てるためではなく、「良き実り」のために耕されるべきであるように、性もまた神の祝福のもとに行われるべきです。
🔹 6.「欲望を正当化する言い訳への戒め」
- 「どうして自分をそんなに抑えねばならないのか?」という声は、人間の弱さから生まれる正当化の言葉です。
- ヒルデガルトはこれを“愚かなる者のたわごと”として明確に否定しています。
🔹 7. 「“神の鏡”を捨てるという罪」
- 性が歪められるとき、人は「神の姿を映す鏡=いのちの尊さ」を無視し、自らの欲望に服します。
- この姿勢こそが、単なる姦淫ではなく“殺人者”とまで呼ばれる重い罪なのです。
🔹 8.「“教会の塔”にある者への警告」
- 教会の教えの中に身を置く者であっても、欲に走るならば、その行いは神を裏切るものになります。
- 「自らを省みよ」という厳しい言葉は、信仰者に対する内省と悔い改めの呼びかけでもあります。
Message 23 :ホセアによるこの主題についての証言
本文
「彼らはその思いを神に立ち返らせようとしない。淫行の霊が彼らのうちにあって、彼らは神を知らない。」
──(ホセア書 5章4節)
これは、すなわちこういうことです。
神を知らぬ悪しき者たちは、自らの心の顔を隠し、真の光に立ち返るために必要な行いをしようとしません。
彼らの目は神のことをはっきりと見ることができず、むしろその内に悪を育てているのです。
悪魔の誘惑によって、放縦な不浄の息が彼らに吹き込まれ、本来持つべき剛毅な力を弱めてしまいます。
そしてその結果として、彼らは神に対して誠実な信仰を置くことができず、悪魔によって「真の喜びのいのち」から引き離されてしまうのです。
キーワード解説
🔹 1.「淫行の霊」
- ホセア書に登場する「淫行の霊」とは、性的な放縦だけでなく、神への信仰を曇らせる精神的な堕落の象徴です。
- これは人の内側に潜む「神からの離反の力」であり、魂を盲目にさせ、自己中心的な欲望へと導きます。
🔹 2. 「心の顔を隠す」
- 「心の顔」とは、良心や真理を見つめる霊的な意識を意味します。
- それを「隠す」とは、罪を自覚しながらも直視せず、回心の道から逃避する姿勢を示しています。
🔹 3. 「『真の光に立ち返る』ことの拒否」
- 「真の光」とは、神の存在・真理・愛に満ちた道のこと。
- 罪に囚われた人間は、自らその光に背を向け、正しい行いを放棄する傾向にあると指摘されています。
🔹 4. 「悪を育てる内面」
- 悪とは外から入ってくるものではなく、「心の中で育てるもの」であるという視点が語られます。
- 欲望や誘惑に従い続けることは、自らの内に悪の温床を築く行為とされます。
🔹 5. 「剛毅の力の喪失」
- 悪魔の誘惑は、人が本来持つべき「貞潔」「理性」「自制心」といった霊的な強さを弱めてしまいます。
- それによって、人は善なる選択をする力を失い、魂の方向性が崩れていくのです。
🔹 6. 「喜びのいのちからの離反」
- 神が与える「真の喜び」は、自己放縦や快楽主義では得られません。
- 悪魔に心を奪われると、その「永遠の命と喜び」から遠ざけられてしまうと警告されています。
Message24:「慈愛への称賛」
本文
しかし今、わたしはわたしの最愛の羊たち──わたしの心の内にしっかりと抱かれた、貞潔の種を持つ者たち──に語りかけましょう。
貞潔は、わたしによって創られたものです。なぜなら、わたしの子は処女から生まれたからです。
このゆえに、貞潔は谷間のすべての果実の中で最も美しく、滅びることなき王の宮廷において最も高貴な存在です。
なぜなら、それは律法の戒めに従わなかったにもかかわらず、わたしのひとり子を世にもたらしたからです。
ですから、わたしの子に従おうと望むすべての者たちよ、自由な貞潔の無垢さや、喪に服する未亡人としての孤独のうちに、わたしの言葉を聞きなさい。
初めから汚れなき貞潔は、たとえ夫を失った悲しみの中で貞潔を模倣する未亡人であっても、それよりも気高いものです。
わたしの子は、その身に多くの苦しみを負い、十字架の死を耐え忍びました。
ですから、あなたがたも彼の愛のうちにおいて、かつて罪の欲望の中に蒔かれたものを内に打ち克つとき、苦悶を経験することでしょう。
その苦しみの中で、あなたがたの中に秘かに現れる人間の弱さ──欲望の炎から滴り落ちる小川のような種子──を完全に抑えることはできないかもしれません。
それでもあなたがたはその労苦の中において、わたしの子の受難を模倣し、自らに抗うべきです。
すなわち、欲望の炎やこの世の諸々のものを心から消し去り、怒り、誇り、放縦、その他の悪徳を追い出すこと。
そしてこの勝利を、大いなる闘いによって手に入れるのです。
これらの戦いは、わたしにとってたいへん美しく、豊かな実りをもたらすものであり、太陽よりも輝き、香のような愛よりも甘美なのです。
なぜなら、あなたがたが自らの内なる燃える欲望を足下に踏みにじるとき、わたしのひとり子の苦しみを模倣しているからです。
そして、あなたがたがこれを堅く貫くとき、天の王国において大いなる栄光を得るでしょう。
ああ、いとしき花たちよ!
わたしの天使たちは、あなたがたのこの闘いに驚嘆しています。
なぜなら、あなたがたはこの世の毒の泥に汚されることなく、死から逃れた者たちだからです。
あなたがたは肉体を持ちながらもそれを足下に置き、ゆえに彼らと共に栄光の中に現れ、彼らのように汚れなき者として見えるでしょう。
ですから、あなたがたがこのようにして持ち堪えていることを喜びなさい。
なぜなら、あなたがたが忠実にわたしを迎え入れ、心に喜びをもってわたしの声を受け入れるとき、わたしはあなたがたと共にあるからです。
これは、わたしが最愛のヨハネに示した秘められた幻の中でも語られていることなのです。
キーワード解説
🔹 1.「貞潔(Virginity)は神からの最高の果実」
- 貞潔は神自身が創造した尊い性質であり、処女マリアから神の子が生まれたという事実により、他のどの果実よりも「美しく」「高貴」なものとされています。
- 律法の戒めを超えた、神との直接的な結びつきを象徴する「神聖な種」です。
🔹 2. 「未亡人の孤独と貞潔」
- 喪に服する未亡人も、夫を失った悲しみの後に貞潔を模倣することで神の祝福に近づける存在とされますが、「初めから汚れなき貞潔」には及ばないとされます。
- ここには、神の前での“純粋さの本質”が問われています。
🔹 3. 「欲望との闘いは聖なる苦しみ」
- 人間は欲望を完全に抑えることはできず、秘かに現れる「人間の弱さ」があることを前提にしながらも、それと戦い、抑えようとする努力そのものが「聖なる模倣」として讃えられます。
- イエスの受難になぞらえる形で、精神的な闘争は神への奉仕とみなされます。
🔹 4. 「内なる自己への抵抗」
- 欲望、怒り、傲慢、放縦など、この世の悪徳を「自らに抗う」ことで打ち払うことが求められます。
- この内面的な浄化と節制が、霊的勝利への鍵であり、それが「神の美しさ」として認められるのです。
🔹 5. 「欲望を踏みしだくことの栄誉」
- 欲望を「足で踏みつける(trample under foot)」という比喩は、内なる罪性や世俗性に打ち克つことが、キリストの苦難に最も近づく行為であることを示します。
- それは「太陽よりも輝き、香料よりも甘美なもの」と形容されるほどに、神にとって大いなる喜びです。
🔹 6. 「天使たちの驚嘆と賛美」
- この世の「毒の泥」にまみれずに清らかに保つ努力は、天使たちの世界でも「驚き」と「称賛」の対象です。
- 人間の肉体を持ちながらもそれに支配されずに生きる姿は、天上の存在に近づくものとされます。
🔹 7. 「忠実に声を聴く者と共にある神」
- 神は「忠実にわたしを迎え、心に喜びをもって声を受け入れる者」と常に共にあると宣言します。
- この姿勢そのものが、神との親密な関係を生み、霊的な導きを受ける礎になります。
🔹 8. 「ヨハネに示された秘儀としてのメッセージ」
- このメッセージは、ヨハネへの「秘められた幻(secret vision)」として明かされた神の意志の一部。
- 個々人の霊的な闘争が、神の永遠の秩序の中でどう位置づけられているかを、黙示的に示しています。
🌿 まとめ|貞潔と欲望のはざまで、神との交わりを取り戻すとき
メッセージ22〜24では、神の視座から語られる「性と愛」の霊的な意味が、深く掘り下げられていきます。
そこにあるのは、人間の弱さを裁く声ではなく──
混沌と欲望の時代に、神との結びつきをもう一度回復してほしいという切なる呼びかけです。
乱れた行為は、魂の中の“光”を曇らせてしまいます。
けれども、それに抗い、貞潔を守ろうとする営みは、
イエスの十字架の苦しみと響き合う「聖なる戦い」なのです。
✨ 浮かび上がるテーマたち
- 🔹 性の乱れは、神との交わりを遠ざける
- ホセア書を引用しながら、神は「淫らな霊が人々の内にある」と嘆きます。
- 欲望に溺れることは、神を見失わせる霊的な麻痺であり、魂の方向性が損なわれる原因とされます。
- 🔹 肉欲は、霊の力を弱める
- 欲望に身を委ねることは、神から与えられた“生命力”や“創造力”を削ぐ結果を生みます。
- 本来持っているはずの「誠実さ」や「正しい判断力」が濁り、真の幸いから遠ざかってしまうのです。
- 🔹 貞潔は、神の御心に最も近い果実
- 神は「貞潔はわたしの心にある最愛の羊」と呼び、処女性こそが最も美しく高貴な霊的徳であると称えます。
- それは、マリアのように“神の受肉”を可能にする神秘の土壌でもあります。
- 🔹 未亡人の貞潔もまた、神のまなざしに値する
- 愛する者を失った未亡人が、悲しみを経て貞潔を守ろうとする生き方も、神にとって尊い選択です。
- そこにあるのは、喪失の痛みを超えて、神への信仰を持ち続けようとする深い愛の形です。
- 🔹 欲望との闘いは、イエスの受難に通じる道
- 完全に清らかでいることは困難でも、その弱さを抱えながらも欲望に抗う姿こそ、神に喜ばれるものとされます。
- それはまさに、自らの内なる「受難」を生きるという行為です。
- 🔹 霊的戦いは、天の美しさを生む
- 貞潔を守る努力、怒りや傲慢を追い払う自己鍛錬、それらは「太陽よりも輝き、香料よりも甘美」と形容されるほど、神のまなざしから見て気高く、美しいものなのです。
- 🔹 天使たちは、貞潔の者に驚嘆する
- 人間が肉体を持ちながらもその欲を超えて生きようとする姿に、天使たちが驚きと尊敬のまなざしを向けていることが明かされます。
- それほどまでに、霊的な勝利は宇宙的な価値を持ちます。
- 🔹 神は、わたしの声を喜んで受け取る者と共にいる
- 最後に神は、「忠実に声を受け入れる者」のうちにご自身が共にいると語ります。
- 欲望を超えた愛と信仰の選択は、神との一致をもたらす道なのです。
✨Vision II:「創造と堕落」に添えられた33のメッセージ
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【メッセージ目次一覧】
Session.1 天使の忠誠とルシファーの堕落、地獄の創造
Message 1~3 誇りと忠誠の狭間で
Message 4-6 地獄・堕落・神の秩序
Session.2 地獄の存在、悔い改めの重要性、悪魔の欺瞞、結婚の神聖さ
Message 7-9 悔い改め・欺き・原罪
Message 10-12 誘惑・結婚・創造
Session.3 欲望の制御、近親婚の禁止、キリストによる償いの役割
Message 13 結婚・欲望・悔い改めと救い
Message 14-15 罪なき御子と魂の救い
Message 16-18 神の秩序と血の尊厳についての教え
Session.4 結婚における成熟と秩序、性の倫理、純潔の価値
Message 19-21 神殿の純潔と性の秩序
Message 22-24 貞潔と欲望のはざまで神とつながる道
Session.5 神のまなざしに照らされる人間の自由と責任
Message 25-27 創造の秩序と神の呼びかけ
Message 28-30 人間が試される理由と楽園の真意
Session.6 人間の救済と、謙遜と愛の重要性
Message 31-33 謙遜と愛の力で悪を砕く
※Scivias、またはヒルデガルドについては、こちらをご覧ください。
Scivias ― ヒルデガルトの神秘ヴィジョン集
※Scivias (英語版)原文:コロンビア大学https://www.columbia.edu/itc/english/f2003/client_edit/documents/scivias.html
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